日本語の記事やブログを読むと、しばしば「フィリピンやミャンマーからのメイドが奴隷のように働かされ」という内容の記事を見かけます。果たしてそれは本当なのでしょうか。
そもそもメイドさんはどうやってきてるの
シンガポールには外国人が住み込みメイドとしてシンガポールで働けるFDW(Foreign Domestic Worker)という仕組みがあります。
条件としては、
- 女性
- 基本的に50歳以下
- 決められた国からくること
- 最低8年の公式な教育を受けていること
というものがあります。
ちなみに決められた国とは、バングラデシュ、カンボジア、香港、インド、インドネシア、マカオ、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、韓国、スリランカ、台湾、タイです。
よく聞くのはミャンマー、フィリピン、インドネシアから来ているメイドさんたちです。
メイドさんはなぜシンガポールに来ているの
それぞれ理由があるようですが、多くの場合は出稼ぎ。シンガポールで稼いでそのお金を母国にお金を送ることです。
我が家で働いてくれているメイドさんは、初めは家の近くでものを売って働いていたけれど雇用主が期日に支払いをしてくれなかったり、周りからお金を貸してといわれたりしてなかなか経済状況が安定しなかったそうです。息子さんの生活費、学費を稼ぎたいということでシンガポールにくることにしたそうです。
一般的にシンガポール人はメイドをこき使うと言われているが・・・
よく聞く話はシンガポール人はメイドさんに厳しいということ。ずっと家にいるおばあちゃんなどがずっと見張っててあれしてこれしてといっぱいお願いしちゃうこともしばしばあるみたいです。
現地のシンガポール人の同僚に聞いた話によると多くのメイドさんはシンガポール人の家庭より駐在員の家庭で働く事を好むそうです。
我が家のメイドさんはおそらくシンガポール人家族のときのほうが高待遇
シンガポール人の家庭は厳しいと一般的に言っても必ずしもそうとは限りません。例えば我が家のメイドさんはうちに来てあきらかに前より待遇が落ちていると思います。
一応、給与は上がってるんですよ。前の家庭での彼女の手取りは月650ドルだったそうですがうちは700ドルとなっています。(ちなみに初めは800ドル欲しいと言われていたのですが働きぶりも分からないのに謎にこんなにはあげられないということで交渉。彼女の人柄や経歴は良かったので700ドルで折り合ったしだいでした。)
前のシンガポール人ファミリーの彼女の待遇はどうだったかというと
- クリスマスには家族とみんなでマリオットホテルでブッフェ
- 家族みんなで定期的にジムに行く
- 知人の結婚式にも家族と一緒に出席
- 奥様が通販で買った服が合わないと、一度も来ていないのにこれあげるわと服をもらう
- 誕生日にはバッグなどをプレゼント
- 友達をよんで雇用主の家でパーティしてもいいわよと言われて友達を呼んで雇用主の家でフィリピン料理を作りパーティー
- マリーナベイサンズに友達と泊まってきたら?と宿泊をプレゼント
- 週一は一緒に外食
という家族の一員のような扱いだったそうです。これは初めは知らなかったのですがメイドさんと色々会話しているうちに分かったことです。彼女は契約が終了になるのが悲しくて涙し、契約終了後も休日には何度か前の雇用主の家に遊びに行っていました。
もちろん、仕事が楽だったかというとそういうわけではないと思います。一軒家なので掃除は大変だっただろうし家族の人数は多い。深夜まで続くホームパーティーもしばしば行われていたそうです。しかし、前の雇用主とはとてもいい関係だったことがうかがえます。
メイドさんにとっても雇用主にとっても合う合わないは巡りあわせの要素がかなり大きいと感じます。
メイドは奴隷か
そもそも奴隷の定義とはなんでしょうか。辞書にはこうあります。
人間としての権利・自由を認められず、他人の私有財産として労働を強制され、また、売買・譲渡の対象ともされた人。
メイドさんは人間としての権利・自由を認められていないのでしょうか。そんなことはありません。メイド雇用にあたって研修を受けなければならないのですが、その研修の中ではきちんと3食取れるように、8時間眠れるように配慮する義務やメイドのパスポートそ管理する権利がないということなどがレクチャーされます。
また、メイドさんは他人の私有財産のように労働を強制されるわけでもありません。メイドさんは雇用主との面接を通して雇用主がオファーをしても断る権利を持っています。私は、メイドさんは雇用主と契約をとりかわし労働力をサービスとして雇用主に提供している立場だと理解しています。
しかし、悲しいことにパスポートを管理していたり長時間の労働を強いられたり、満足な食事を与えてもらえなかったり、雇用主に怒鳴られまくったりするメイドさんがたくさんいます。母国への仕送りを続けるには働き続ける必要があるので気軽に辞めることもできません。このような事態が、シンガポールのメイド=奴隷かといわれるゆえんではないかと考えます。
さいごに
シンガポールのメイドは奴隷のような扱いだという意見がありますが、実際は雇用主によって本当に様々な扱いだと感じます。
ただ、わたし個人としては彼女たちの働き口があることによって彼女たちの家族が生活を送れたり学校に行けたりしているのでこの制度にぜったいに反対という立場ではありません。
私はフィリピンのに行ったことはありませんが、我が家のメイドさん、レアジョブという英会話、フィリピンサイトで働くフィリピン人同僚などと関わってきて明るくてまじめで優秀な人もたくさんいるなと感じます。
より多くの人が幸せに働けることを願うばかりです。
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